倒立振子実験装置

倒立振子実験装置

本研究室で製作した,DCモータで駆動される倒立振子系の実験装置を紹介します.DCモータはPWMドライバで駆動され,台車の位置および振子の振れ角はポテンショメータで測定されます.パソコンとDSP(エムティティ s-BOX)をコントローラとして使用し,プログラミング言語は,DSP付属のC言語を用いました.状態フィードバックによる倒立安定化や振り上げ安定化などの制御実験ができます.

設計図は2次元汎用CADソフトRootPro CAD Standard(フリーソフト)で作成しました.

本実験装置は,先に紹介した台車系実験装置に振子部を追加したものです.とりあえず,振子用ポテンショメータには測定角350°の1連のものを取り付けています.また,底板と側板は,耐久性や見た目を考え,ラワンベニア合板からジュラコン(機械部品用樹脂)に変更しました.

ちなみに,主要部品(ギヤドDCモータ,ドライバ,ポテンショメータ(振子用1連,台車用),直動機器(レール,キャリッジ))の価格は合計約2万5千円(税込)でした.残りの部品をうまく調達すれば,1台5万円程度で製作できると思います.



図1 倒立振子実験装置



図2 倒立振子実験装置



図3 倒立振子実験装置



図4 倒立振子実験装置



図5 倒立振子実験装置(振子の重り部分)

状態フィードバック制御による振り上げ安定化制御実験の動画(MPEGファイル) エネルギ法[1]によって振り上げ,飽和制御[2]によって安定化しました(台車移動幅の上限を0.2mと設定).

〃(MPEGファイル) 〃(台車移動幅の上限を0.16mと設定).

〃(MPEGファイル) 〃(台車移動幅の上限を0.16mと設定.振子にφ4×250mmのアルミ材を使用).

[1] 吉田,松本:支点移動幅の制限を考慮した並進型倒立振子の振り上げ制御,システム制御情報学会論文誌,Vol. 16, No. 8, pp.397-405, 2003.
[2] K.Yoshida and I. Matsumoto, ``Stabilizing control for an inverted pendulum with restricted travel, Proceedings of the 2009 American Control Conference, pp. 543-548, 2009.


図面1(PDF)
図面2(PDF)
図面3(PDF)

振り上げ安定化制御サンプルプログラム(swingup_sample.c) 本プログラムは台車制御サンプルプログラム(cart_sample.c)を基に作成しました.動画の実験で使用したプログラムです.実験では振子用ポテンショメータの測定できない部分(10°)を11時の方向にセットし,この部分を使わないようにして(台車を動かし始める方向を選び,台車の目標振幅を小さくし始めるタイミングを決めるパラメータ b0 を調整して),振り上げ制御を行っています.

倒立安定化制御サンプルプログラム(ipend_sample.c) 上記のプログラムから振り上げモードを除いた,倒立安定化のみを行うプログラムです.1連の振子用ポテンショメータは,基本的には安定化制御用です.


部品表(台車系実験装置に追加したもの)

No. 部品名 会社名 型番 個数 サイズ 材質 備考
1 振子用ポテンショメータ 緑測器 CPP-45B 1kΩ 1 - - 振子の回転軸と軸受機構を兼ねる.2連,180°位相.倒立安定化のみなら,1連で可.
2 振子用ポテンショメータの電源 - - 1 - - ±10V.±10V以内のスイッチング電源で可.
3 台車部天板 - - 1 50×70×8mm アクリル樹脂 -
4 台車部天板支持板 - - 2 18×70×2mm アルミ合金(A5052) -
5 振子用ポテンショメータ支持板 - - 1 45×122×2mm -
6 振子とポテンショメータの連結部品 - - 1 12×30×10mm ジュラルミン(A2017) -
7 セットピース - - 2 M4用 真鍮 セットスクリューと一緒に使用
8 振子 - - 1 φ4×400mm ステンレス -
9 L型金具 - - 1 45×40×2mm 振子用重り
10 セットスクリュー - - 2 M4 L=6mm 振子固定用
11 低頭ねじ - - 2 M4 L=12mm 振子用重り固定用
12 ワッシャー - - 2 M4 D=14mm, t=1mm
13 六角ナット - - 2 M4
14 - - 2 M5
15 六角穴付きボルト - - 11 M3 L=10mm 台車部と振子部固定用,ラック固定板用
16 +皿小ネジ - - 3 M3 L=5mm 振子用ポテンショメータ固定用
17 底板 - - 1 110×350×12mm ジュラコン ラワンベニア合板から変更
18 側板 - - 2 25×110×12mm


最終更新日:2009年9月5日
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