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LaTeXとは、文書整形機能を持つ組み版ソフトのTeXに Leslie Lamport 氏が拡張マ クロ機能を付加したもので、広く印刷業界や科学出版、データ作成に利用されてい ます。ワープロによる論文作成なども多くなってきましたが、数式の美しさでは TeXに勝るものは無いので、いまだに大学では多く使われています。
詳しく紹介すると、これだけで大学の半年の授業になってしまうので今回は雰囲気 を味わう程度にしておきましょう。まずは、XEmacsを利用して、次のようなファイ ルを開くことにします。ここでは、XEmacsのキーバインド操作により行います。 XEmacsのウィンドウを前面に出して、以下のようなキー操作を行ってください。
C - x C - f
先程も出てきたとおり、これは、コントロールキーを押したままXのキーを押し、 続けてコントロールキーを押したままFのキーを押すことを意味しています。 C - x のところで、いったん休止すると、画面一番下のミニバッファ に C - x - と表示されます。そこで、続けて C - f の操作を 行います。そうすると、ミニバッファに
Find file: ~/linux/
のように表示されるので、キーボードからtest.texと入力してください。ミニバッ ファに入力したとおりが表示されます。入力が終わったらエンターキーをおしてく ださい。すると、そのようなファイルはまだ存在していないので、新しい空の文書 が開きます。その時、ミニバッファには
Fontifying test.tex...done.
と表示されるとともに、緑色の帯の領域 (モードラインと呼びます) に「やてふ」 という文字が表示されます。やてふとは Yet Another TeXモードの略ですが、むか し、蝶々を「てふてふ」と呼んでいたことにちなんで「野鳥」と読みます。これで 準備の第一段階は終わりました。
続いて、以下の文字を入力してください。入力が面倒であれば、画面のコピー &ペーストでもかまいません。
\documentclass{jarticle} \begin{document} \begin{center} {\LARGE 日本語 \LaTeX} \end{center} \end{document}
ここで、\マークはバックスラッシュですが、それに続いてなにやら怪しげなコマンドがたくさん出ていま す。ただし、beginとendで組みになっているので、実際はそれほど多く無いようで す。これが、LaTeXのソースコードです。では、これがどのように整形される のか、見てみることにしましょう。
まずは、版組みです。これをタイプセットと呼びますが、コンパイルということも あります。本来は、このような作業はターミナルから行うのですが、野鳥の機能を 利用してXEmacsの中で行います。コマンドは以下のようなものになります。
C - c t j
このコマンドの入力中にミニバッファにいろいろ表示されているのを見てください。 C - c t のところで、ずらずらと候補が下に表示されています。その中 Jすなわちlatexを選択することになります。すると、タイプセットが開始し、エラー が無ければ無事に終了するはずです。
次に印刷イメージの確認です。これをプリビューと呼びます。これもキーコマンド により行います。今回は、
C - c t p
です。すると、まずは、
Preview command: xdvi
とミニバッファで聞かれますのでエンターを押します。さらに、ファイル名を
Preview file[.dvi]: test
と聞かれますので、これもエンターキーで確定します。すると、プリビューワの xdviが起動し、印刷イメージの表示を行います。無事に表示されたでしょうか。 LaTeXの特徴は文字や記号を任意の位置に置くことができる機能で、そのために美 しい数式が表現できます。ここの例では、LATEXという文字が複雑に重なり合って 表示されています。このような合字は最近では一部のワープロで取り込まれていま すが、まだまだLaTeXには及びません。
さて、上の例では実際に表示される文字は「日本語LATEX」だけで、それ以外はすべて 制御コードでした。このように、本文と制御コードが混在するのがマークアップラ ンゲージです。ワープロでもRTF形式 (Rich Text Format) などがこのような方式 を取っていますが、その場合には、表現力が落ちてしまうのが難点です。
最後に、実際に数式を出力してみましょう。以下のような例文に変更します。 中身は複雑なので、自分で入力しないでコピーしましょう。
\documentclass{jarticle} \begin{document} \begin{center} \[ \nabla \times \mbox{\boldmath$E$} = -\frac{\partial \mbox{\boldmath$B$}}{\partial t} \] \[ \nabla \times \mbox{\boldmath$H$} = \mbox{\boldmath$J$} + \frac{\partial \mbox{\boldmath$D$}}{\partial t} \] \[ \nabla \cdot \mbox{\boldmath$D$} = \rho \] \[ \nabla \cdot \mbox{\boldmath$B$} = 0 \] \end{center} \end{document}
実に複雑な内容ですが、これを先程と同様にタイプセットすると数式を見ることが できます。これらは、Maxwellという19世紀のイギリスの物理学者が整理した電磁 気学の基本になる方程式です。
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