並列二重および三重倒立振子実験装置(プーリーベルト駆動)

並列二重および三重倒立振子実験装置(プーリーベルト駆動)

本研究室で製作した,DCモータで駆動される並列二重および三重倒立振子系の実験装置を紹介します.DCモータはPWMドライバで駆動され,台車の位置および振子の振れ角はポテンショメータで測定されます.パソコンとDSP(エムティティ s-BOX)をコントローラとして使用し,プログラミング言語は,DSP付属のC言語を用いました.状態フィードバックによる倒立安定化の制御実験ができます.

設計図は2次元汎用CADソフトRootPro CAD Free(フリーソフト)で作成しました.

本実験装置は,倒立振子実験装置(プーリーベルト駆動)の台車部(および駆動部)のみを変更したものです.



図1 並列二重倒立振子実験装置(L1=798mm, L2=409mm)



図2 並列二重倒立振子実験装置(台車部)



図3 並列二重倒立振子実験装置(台車部)



図4 並列二重倒立振子実験装置(台車部)



図5 並列二重倒立振子実験装置(振子先端部)



図6 並列二重倒立振子実験装置(L1=180mm, L2=320mm)



図7 並列二重倒立振子実験装置(台車部)



図8 並列三重倒立振子実験装置(L1=180mm, L2=320mm, L3=798mm)



図9 並列三重倒立振子実験装置(台車部)

状態フィードバック制御による並列二重倒立振子(L1=798mm, L2=409mm)の安定化制御実験の動画(WMVファイル) 飽和制御[2]によって安定化しました(台車移動幅の上限を0.4mと設定).倒立振子の安定化は,各(等価)振子長を長くすればより簡単になり,小さな出力のモータでも可能となります.さらに,並列型倒立振子の場合,良好な可制御性を得るため,各振子の長さに差をつけます.この場合の両振子の固有振動数比はω2/ω1≒1.36です.

状態フィードバック制御による並列二重倒立振子(L1=180mm, L2=320mm)の安定化制御実験の動画(WMVファイル) 飽和制御[2]によって安定化しました(台車移動幅の上限を0.3mと設定).この場合の両振子の固有振動数比はω1/ω2≒1.33です.

状態フィードバック制御による並列三重倒立振子(L1=180mm, L2=320mm, L3=798mm)の安定化制御実験の動画(WMVファイル) 飽和制御([2]の拡張形)によって安定化しました(台車移動幅の上限を0.4mと設定).L2とL3の振子の固有振動数比はω2/ω3≒1.56です.

LQや極配置法でも安定化可能と思います.

[1] K.Yoshida and I. Matsumoto, ``Stabilizing control for an inverted pendulum with restricted travel, Proceedings of the 2009 American Control Conference, pp. 543-548, 2009.
[2] 吉田和信,台車移動幅の制限を考慮した直列および並列型二重倒立振子の安定化制御,第19回計測自動制御学会中国支部学術講演会(チュートリアル講演),pp.2-7, 2010.11.27


図面1(PDF) 並列二重倒立振子台車部枠(折り曲げ前)


並列二重倒立振子台車部の主要部品表(L1=798mm, L2=409mm)

No. 部品名 会社名 型番 個数 サイズ 材質 備考
1 振子用ポテンショメータ 緑測器 CP-2UN 2 - - 測定角90°,無接触型
2 台車部枠 - - 1 T=2mm アルミ合金(A5052) 折り曲げ加工
3 振子の重り - - 2 T=10mm×25×18mm ジュラルミン(A2017) -
4 振子 - - 1 T=3mm×798×10mm ヒノキ材 -
5 - - 1 T=3mm×409×10mm -





図10 並列三重倒立振子実験装置(タコジェネレータ付,L1=80mm,L2=500mm,L3=180mm)



図11 並列三重倒立振子実験装置(タコジェネレータ付,台車駆動部,駆動用モータ:ツカサ電工TG-85E-SU-13.2-KB,24V(8W),DCタコジェネレータ(DCモータで代用):ツカサ電工TG-70A,24V)

状態フィードバック制御による並列三重倒立振子(タコジェネレータ付,L1=80mm,L2=500mm,L3=180mm)の安定化制御実験の動画(WMVファイル) 飽和制御([2]の拡張形)によって安定化しました(台車移動幅の上限を0.4mと設定).タコジェネレータの使用で,より滑らかな台車制御が実現できます.

図面2(PDF) 並列三重倒立振子(タコジェネレータ付)
図面3(PDF) 並列三重倒立振子台車部枠(折り曲げ前)

本ウェブサイトで紹介している実験装置全般に言えることですが,使用した部品類は低価格で,製作も容易です.


並列三重倒立振子(タコジェネレータ部と台車部)の主要部品表(L1=80mm, L2=500mm,L3=180mm)

No. 部品名 会社名 型番 個数 サイズ 材質 備考
1 DCモータ ツカサ電工 TG-70A 1 - - 24V,DCタコジェネレータの代用品,
スリーピースTP-2846A-24(1,000円)でも可
2 カップリング 鍋屋バイテック会社 MOS-8 1 Φ2mm×Φ2mm - Φ2.3mm×Φ2.6mmに加工
3 六角穴付きボルト SNSS-M1.4×4 1 M1.4,L=4mm ステンレス(SUS304相当) 台車駆動用DCモータシャフト延長用
4 DCモータ支持板 - - 1 T=3mm×60×60mm ジュラルミン(A2017) -
5 スペーサー(六角両メネジ) - - 4 M4,L=45mm ステンレス(SUS303) -
6 振子用ポテンショメータ 緑測器 CP-2UN 3 - - 測定角90°,無接触型
7 台車部枠 - - 1 T=2mm アルミ合金(A5052) 折り曲げ加工
8 振子の重り - - 3 T=10mm×25×18mm ジュラルミン(A2017) -
9 振子 - - 1 T=3mm×80×10mm ヒノキ材 -
10 - - 1 T=3mm×500×10mm -
11 - - 1 T=3mm×180×10mm -

最終更新日:2011年8月20日
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