クレーン実験装置

本研究室で製作した，DCモータで駆動されるクレーン系の実験装置を紹介します．DCモータはPWMドライバで駆動され，台車の位置および振子の振れ角，ロープ長はポテンショメータで測定されます．パソコンとDSP（エムティティ s-BOX）をコントローラとして使用し，プログラミング言語は，DSP付属のC言語を用いました．状態フィードバックによるクレーン系の搬送制御などの実験ができます．

設計図は2次元汎用CADソフトRootPro CAD Standard（フリーソフト）で作成しました．

本実験装置は，倒立振子実験装置（プーリーベルト駆動）をベースに設計したものです．台車部のプーリー機構で荷の巻上げ・巻下ろしができます．



図1　クレーン実験装置



図2　クレーン実験装置（台車駆動部）



図3　クレーン実験装置（台車駆動部）



図4　クレーン実験装置（台車駆動部）



図5　クレーン実験装置（台車部）　荷の巻上げ用に，研究室にあったエンコーダ付きモータTG-70A-FU-23-KBED(2P/R)を取り付けていますが，エンコーダは使用していません．部品表の型番はエンコーダなしのものです．



図6　クレーン実験装置（台車部）　荷の振れ角の測定機構はシンプルで問題なさそうですが，摩擦の小さいポテンショメータ，ピアノ線と連結部材の質量，張られた糸のばねの組み合わせでよく振動する振動系となっています．実際，ピアノ線を指ではじくとビーンと高周波数で振動します．このため，振れ角の測定信号をそのまま使うと自励振動が発生しました．これを防ぐため，振れ角の測定値を1次遅れフィルタで平滑化して使用しています．



図7　クレーン実験装置（台車部）



図8　クレーン実験装置（台車部）　DCモータへの2本のコードはノイズ源なので，ポテンショメータのコードがこれらと接触しないように注意します．写真ではポテンショメータの検出コードのみ離していますが，電源コードも（特にレギュレータ電源の場合）離した方が良く，現在はそのようにしています．

状態フィードバック制御によるクレーン系の搬送制御実験の動画（WMVファイル）　飽和制御[1]によって制御しました（振子角振幅の上限を0.2radと設定）．ロープ（ポリエステル糸）長は飽和サーボ系で制御されるプーリー機構によって独立に変化します．

部分状態フィードバック制御によるクレーン系の搬送制御実験の動画（WMVファイル））　台車系を飽和サーボ系（制振制御なし）によって制御しました．

[1] K.Yoshida and I. Matsumoto, ``Load transfer control for a crane with state constraints,'' Proceedings of the 2009 American Control Conference, pp. 2551-2557, 2009.

図面1(PDF)
図面2(PDF)

クレーン系の搬送制御サンプルプログラム（crane_sample.c）　上記二つの動画の実験で使用したプログラムです．本プログラムは台車制御サンプルプログラム（cart_sample.c）を基に作成しました．

部品表