コンピュータセミナー
2001.5.18
XEmacsの特徴は、高機能な統合環境であるEmacsにマウス操作がしやすいようなボタンやメニュー構成を用意してあることである。しかし、キー操作に関しては教科書で説明してあるEmacsと全く同様であるので、適宜教科書を参考にして必要な機能を覚えることが望ましい。
XEmacsの起動はGNOMEメニューからでも出来るように設定できるが、ここではターミナルからのコマンドによる起動を推奨する。理由は、引数としてファイル名を指定できるので、起動したときから希望のファイル編集が出来ることと、コマンドを起動したディレクトリを起点にファイルの保存などを行うので、ファイルのパスがわかりやすくなることである。
起動は、例えば、Rubyのスクリプトの編集を行うのであれば、あらかじめscriptディレクトリにcdコマンドで移動しておいて、
$ xemacs hoge.rb &
のようにすればよい。ここで、最後に付いている&であるが、これはターミナルにおいてはバックグラウンド処理で行うことを意味する。バックグラウンドとは、ターミナル上には見えない場所で動作することであるが、Xの環境において、新規にウィンドウを広げて立ち上がるようなアプリケーションの場合には、付けることを基本としよう。そうすると、XEmacs起動後にもターミナルの使用が可能となる。試しに、&を付けないで起動してみると違いがよく分かる。
XEmacsは引数としてファイル名を指定しなければ標準のトップ画面を表示してしまう。文字入力を始めるとそのほとんどは消えるが、それでも鬱陶しいので、先ほどの例のようになるべくファイル名を付けて起動する方がよい。また、複数のファイルを編集する際に、別のXEmacsを新たに起動する必要もない。一つのウィンドウの中で各種の処理が出来るので、CPUやメモリに負担をかけるアプリケーションを複数起動することはやめよう。また、編集操作も同一のウィンドウ内に対応しているので、複数起動すると編集には不便である。
終了は、メニューからも出来るが、今後のことを考えてなるべくキー操作により実行してみること。XEmacsの終了キー操作は
C - x C -c
である。これはコントロールキーを押したままXを押し、次に、同様にコントロールキーを押したままCのキーを押す。もし、編集中のファイルがあればダイアローグを表示して指示を待つようになっているので、保存、破棄のどちらでも好きなようにダイアローグに従って進めていけばよい。
XEmacsの設定は起動時に読み込む~/.emacsから呼び出される.xemacs.elに従う。ここで、~はホームディレクトリを意味しており、自分のホームディレクトリにある.xemacs.elという名前のファイルのことである。.で始まるファイルはlsコマンドにより表示するためには-aオプションが必要なので注意すること。中身はただのテキストファイルであるが、Emacs Lispという言語で記述されているので理解するためにはある程度の知識が必要である。Vine Linuxにおいては初回利用時に自動的に設定ファイルが作成されるが、自分のホームディレクトリで
$ cat .emacs
としてもファイルがないというエラーがでる場合には元からコピーしなければいけない。方法は、
$ cp /etc/skel/.emacs* .
$ cp /etc/skel/.xemacs.el .
である。自分のホームディレクトリに以下のファイルがあることを確認しよう。
.emacs
.emacs.el
.emacs-color.el
.xemacs.el
なお、元から自分のEmacsの挙動を.emacsで定義していた場合には上記ファイルのコピーを行うと設定が消去されるものもあるので、注意が必要である。よくわからない場合には縄手まで申し出ること。
教室の環境では、起動時のウィンドウサイズが大きいので、画面下側にあるタスクバーに次項で示す重要な部分が隠れてしまっている。起動時のサイズを小さくするためには、.xemacs.elファイルの記述の変更が必要であるので、XEmacsで.xemacs.elファイルを開いて編集し、XEmacsを再起動してみよう。(デフォルトでは縦が40行になっている)
(setq default-frame-alist (append (list '(cursol-color . "darkred")
'(width . 80)
'(height . 35))
default-frame-alist))
上の設定は幅を日本語全角文字で40文字分、高さを35行にして起動することを意味している。高さところは自分の好きなように変更すればよい。
教科書p.72
XEmacsで一番大事なことは状態が表示されるミニバッファ(エコー領域)とモード行に常に注意しておくことである。操作を行うたびにそれに関するコメントが表示されているので、注意する。エラーメッセージもミニバッファに表示される。また、ファイルの状態、修正されているかいないかもモード行に表示されるので注意が必要である。ファイルの内容が変更される前は----で表示されている部分が修正すると-**-のように変わる。文字を加えて再び消去し、元と同じ状態に戻してもXEmacsは変更があったと見なす。
教科書p.78
新規に編集するファイルを開くときに、メニューから、ボタンバーのボタンから選ぶ方法があるが、やはり、キー操作に慣れておくためにコマンドから実行しよう。開く操作は
C - x C - f
である。新しいファイルを開いても先ほどまで編集していたファイルが消えるわけではない。ウィンドウを切り替えることにより表示できるが、それは後ほど説明する。ファイルを編集した後の保存についてもメニューやボタンではなくコマンドを覚えておこう。そのまま保存するときは
C - x C - s
であり、別名で保存の場合は
C - x C - w
となる。保存ダイアログが表示されたときに別のディレクトリに移る操作はミニバッファに直接入力しても良いし、TAB補完によりディレクトリ一覧を表示させ、ディレクトリを選んでいく方法でも良い。ただし、ディレクトリを選ぶのはマウスで選択した後Enterキーを押す必要がある。ダブルクリックには対応していないので注意。
教科書p.81
現在の画面では複数のファイルを編集するときに、C - x bの操作により画面を切り替えて行う必要がある。二つ以上のファイルを同時に見ながら編集する場合には「フレーム」と呼ばれる部分を複数開いて作業を行う。そのためのキー操作は教科書の表にあるとおりである。自分で実際に作業を行ってみて確かめてみること。
また、編集中のファイルは保存の操作をするまでは元のファイルのままであり、変更されていない。その時に編集中のファイルをバッファと呼ぶ。バッファとは緩衝のことで、一時的に開かれているファイルを指す。保存の操作をするとバッファの内容をハードディスク上のファイルに書き込む。また、自動バックアップ機能を持っているので、一定時間ごとにバックアップを取っていて、保存によりバックアップファイルは消去される。編集の途中で強制的にバッファを消去するかXEmacsを終了すると、ファイル名を#で囲んだファイルが作成されているのに気づく。それが自動バックアップファイルであり、不要な場合には消去すればよいが、#で始まるファイル名なので注意が必要である。また、保存操作を行うと直前のファイルはファイル名に〜を付けて保存されている。間違って保存してしまった場合にはそちらのファイルを開いて必要な訂正を行うことが出来る。
教科書p.83
編集に関するキー操作が充実しているのがXEmacsの良いところであるが、その分、数が多く複雑なので習得には時間がかかる。必要なものから覚えておけばよいが、例えば、カーソルの移動ですら矢印キーを使わないで出来る。ホームポジションから指をはなさないで全ての操作が出来ることが特徴であるが、初めは難しいので無理しないこと。
操作は教科書にあるものを順に試していけばよいが、他のエディタや環境と異なるのは、領域指定した後、その部分がDELキーやBSキーでは消せなくて、C - wのようなキー操作により消去することである。消去とは言ってもその時点ではメモ利されており、別の場所でペースト操作を行えばその内容がコピーされる。Alt - wであれば、カットされないでペーストできる。
覚えておくと便利なのは「矩形編集」機能であり、表などの編集で威力を発揮する。
11 12 13 14 21 22 23 24 31 32 33 34 41 42 43 44
教科書p.87
ファイル編集の際には目的の単語を素早く探すために検索機能がよく使われる。XEmacsにおいては、C - sにより順方向に、C - rにより逆方向(ページの先頭に向かって)検索が行われる。検索はインクリメンタルと呼ばれる方式で、検索したい文字を入力していくと一文字ごとに順次一致する部分を探していくものである。日本語入力モードになっていると日本語の検索も可能である。
文書の中の特定の単語を別の単語に一斉に切り替えたいことがある。例えばRubyスクリプトで変数名を変更する必要が出たときなど、スクリプト中のその変数名を一つずつ書き直すよりも、一斉に自動的に変更する方が楽である。そのようなときに、特定の後を検索した後に置換する作業が教科書に説明されている。
教科書p.95
スクリプトを作成しているときに、エディタで編集し、ターミナルで実行する、と言う作業を繰り返し行うことがある。エディタとターミナルを別々に起動し作業を行ってきたと思うが、XEmacsのシェルモードを利用するとバッファ切り替えだけでそれらの作業が出来るようになる。すなわち、キーボードから指をはなしてマウスに持ち帰る必要なしに作業が出来る。
Alt - x shell
と入力するとシェルが立ち上がりコマンド入力が可能になる。一つ注意することはそのシェルでlsコマンドを使用するときに、ファイル名をカラー表示するような設定にしている場合、色情報が記号としてファイル名に付いてくるので、非常に見づらい画面になる。エイリアスの設定を見直すか、我慢するかの選択を迫られることになる。
教科書p.104
日本語を入力するときにはかな漢字変換サーバであるかんなを起動しなくてはならない。.xemacs.elの設定によりあらかじめかんなを起動してある状態であれば、C - \によりかんなが使用できる状態になり、モード行に[ あ ]の表示が現れる。再び英数文字入力に戻すのにもおなじC - \を利用する。
そうでなければミニバッファにInput-method:と聞いてくるので、
japanese-canna
と入れてやれば同様に日本語入力が可能となる。日本語入力の細かい注意点は次週以降に行う。
情報科学概論のところでも少し説明したが、Sylpheedで新規メールを作成すると、本文入力領域に
--
というものがあらかじめ出ている。これは、電子メールには大抵付けるようになっている署名と本文の領域を区切る記号であり、--よりも上側が本文、下側が署名となるのが慣例である。UNIX系のユーザの伝統としては、電子メールは実名を公表してやり取りするのが常であり、メールに付けるサインのような感覚で独自に趣向を凝らした署名を作成し、末尾に付けて出していた。通信環境が貧弱であった頃は署名は4行以内にするべき、などという慣習が残っていたが現在では長すぎなければ4行にこだわる必要はない。また、ASCIIアートと呼ばれる文字による画を付けることも多く、等幅フォントで見るのが前提となっている。
課題の提出においても、採点ミスを防いだり、印象を強く与えるためにも署名の設定をなるべく早く行うことを推奨する。
教科書にあるXEmacsの操作を一通り行ってみる。また、p.76にあるチュートリアルについても実行してみること。これにより操作の習得が早くなる。
授業の終わり頃に次回までに提出する課題を発表するのでアナウンスに注意すること。また、発表されたら課題を表示するためには、一度このページを再読み込みする必要があるのでNetscapeのボタンをクリックする。そうしないと、課題のページは表示されない。