電子計測
2002.6.24
最初の説明が終わったら出席確認です.パソコンの時計が合っているかを確認したら出席のメールを出してください.今 回の件名は
inst 6-24 attend s0040**
です.それ以外は前回と同じです.
なお,入力ミスがあると出席として認 められないことになりますので,慎重に行ってください.文 字はすべて1バイト文字 (半角英数字) です.途中に入るスペースは一度に一個だけと してください.スペースは全部で3個です.また,**の部分は自分の学生番号の下二桁 です.他学科の人はそれなりに修正して下さい.
教科書p.138
「デスクトップツール」教科書 p.112
表をTeXで作成するには知識と根気が必要です.なれてからでも難しいことが多 いでしょう.また,日本人は「罫線」の入った書類が大好きなので,これも困っ たことです.欧米では履歴書や健康診断書,大学の成績証明書などは日本のよう な表形式ではありません.そのため,TeXでは論文や書籍に載せる表がメインの ターゲットになっていますが,日本では書類自体を罫線で囲む場合が多いので TeXで文書を作成する際には苦労がついて回ることでしょう.
ここでは,最も簡単な形式の表について例を挙げておきますが,余り深入りはし ません.実際に使用する際には,専門書などを参考にしてください.
次の書式が最も基本的な場合です.自分でタイプセットして仕上がりを確認して ください.
\begin{tabular}{ccc} item$_{11}$ & item$_{12}$ & item$_{13}$ \\ item$_{21}$ & item$_{22}$ & item$_{23}$ \\ item$_{31}$ & item$_{32}$ & item$_{33}$ \\ item$_{41}$ & item$_{42}$ & item$_{43}$ \\ \end{tabular} |
\tabular 環境で表を作成する際には,野鳥の C-c b tabular による操作補助が利用できますが,いくつかオプションを聞かれます.ま ずは,
tabular position ('tb') []: |
ですが,表を表示する場所を聞いています.t とはtopのことでページ の上部に,b はbottomで下部に表示します.何も指定しなければデフォ ルトは表のコマンドが登場した場所になります.
次が,
Number of columns(0 for default format): 3 |
のように聞かれます.これは列をいくつ用意するかですので,必要に応じて数字 を修正してください.そうすると,
(N)ormal-frame or (T)hick frame? [nt] |
と聞かれますが,これは枠の罫線を普通にするか太くするかです.何もしなけれ ばデフォルトのNが入ります.
そして,列数を3にした場合には,
rule format: |c|c|c| |
のように聞かれます.c とは枠内で文字を中央に揃えることを意味し, 左揃えが l で右揃えが r になります.また,縦棒 | は縦罫線を入れることを意味します.
ここまでで準備は終了で,必要な形に変更してEnterすると,1段だけ準備が自動 で行われます.表の列の区切りは & です.また,改行を自分で行 う必要がありますので,列の最後には改行コマンドの \\ をつけます.
縦の罫線は先ほどのように指定しましたが,横の罫線は自分で \hline コマンドにより挿入します.最初の例を罫線付 きのものに変更してみましょう.
\begin{tabular}{|c|c|c|} \hline item$_{11}$ & item$_{12}$ & item$_{13}$ \\ \hline item$_{21}$ & item$_{22}$ & item$_{23}$ \\ \hline item$_{31}$ & item$_{32}$ & item$_{33}$ \\ \hline item$_{41}$ & item$_{42}$ & item$_{43}$ \\ \hline \end{tabular} |
罫線を引く行ごとに \hline を入れます.二つ入れると二重罫線にな ります.
数値などを扱う際には右揃えが必要ですし,左揃えも使うことが多いでしょう. 次の例で試してみましょう.
\begin{tabular}{|c|r|l|} \hline Name & Score & Memo \\ \hline ABC & 12,300 & Nothing special \\ \hline DEF & 5,100 & Failed! \\ \hline GHI & 300,000 & Great! \\ \hline JKL & 100 & Retired \\ \hline \end{tabular} |
仕上がりは自分で確認しましょう.
上の例で見出し項目は中央揃えにする場合も結構あると思います.そこだけ変更 するには \multicolumn コマンドを使用します.実際に使いこなすの は難しいですが,このような場合であれば比較的簡単にできます.
\begin{tabular}{|c|r|l|} \hline Name & \multicolumn{1}{|c|}{Score} & \multicolumn{1}{|c|}{Memo} \\ \hline \hline ABC & 12,300 & Nothing special \\ \hline DEF & 5,100 & Failed! \\ \hline GHI & 300,000 & Great! \\ \hline JKL & 100 & Retired \\ \hline \end{tabular} |
HTMLの時に実習したような複数の行や列にまたがる項目を作るのは難しいので, ここではこれ以上のことは行いません.またの機会に勉強しましょう.
これまで \section や enumerate 環境,数式環境で自動の 番号づけを経験してきました.論文中では表や図が登場するとそれを指す番号を 決めて,例えば,「結果を表1に示す」のように参照します.このような番号を 手動でつけていたのでは,途中に新たな表を挿入したり,削除したりする度に文 章全部を訂正しなければなりません.それでは不便なのでTeXでは自動参照でき るようになっています.少し長いですが,次の例で見てみましょう.
\documentclass{jarticle} \begin{document} \begin{center} {\bfseries {\LARGE 相互参照の例文}} \end{center} \section{はじめに} まず適当な表を用意し,それを表\ref{table:color}とします. \begin{table}[h] \caption{色の表} \label{table:color} \begin{center} \begin{tabular}{|c|c|c|} \hline 紫 & 赤 & オレンジ \\ \hline purple & red & orange \\ \hline \end{tabular} \end{center} \end{table} 次にまた別の表を用意しますが,そちらを表\ref{table:car}とします. \begin{table}[h] \caption{車の名前} \label{table:car} \begin{center} \begin{tabular}{|c|c|c|} \hline マツダ & MPV & 2.5$\ell$ \\ \hline マツダ & Capella C$^2$ & 2.0$\ell$ \\ \hline マツダ & RX-7 & 2.0$\ell$ \\ \hline \end{tabular} \end{center} \end{table} \section{結論} \LaTeX の相互参照の機能を利用すると,表の番号などは自動で付けられるので便利 です.車種の掲載してある表\ref{table:car}と色の載っている表 \ref{table:color}は自分で付けたラベルに従って呼び出すことにより,番号を 気にしなくても良くなります. \end{document} |
この例では表が2つ出てきます.それぞれ表1および表2と番号づけを行いますが, それはTeXがやってくれます.自分でしないといけないのは「ラベル」づけです. 表は見出しが表の上に来るというのが論文の書き方なので, \table 環境の中でまず,見出しを指定する \caption があり,次にラベルが 指定されています.また,ラベルの指定は図や表,数式ごとに分けた方が分かりや すいので,ここでは table:color のようにしています.そして, tabular 環境を呼び出して表を作成します.
本文中で参照する際には,\ref コマンドで行います.引数に自分で決 めたラベルを入れておけば自動で参照してくれますが,注意も必要です.それは, タイプセットを2回行わなければならないことです.一度目のタイプセットが終 わった段階でXdviにより結果を見ると番号が入るべき位置に ?? が入っ ています.もう一度タイプセットを行うことにより内部のカウンターを整理して 番号づけすることになっています.
教科書p.158
先ほどの例に図と式も足してみましょう.途中に以下の例文を挿入してみてくだ さい.なお,図についてはEPS形式でないと表示できないので,ここをクリック してとりあえずダウンロードして試してみてください.
\section{図と式の参照} 式(\ref{eqn:newton})はニュートンの運動方程式,式(\ref{eqn:sum})は連続する整数 の和の公式です.当然おぼえていることでしょう. \begin{equation} \mbox{\boldmath{$F$}} = m\mbox{\boldmath{$a$}} \label{eqn:newton} \end{equation} \begin{equation} \sum^n_{k=1} = \frac{n(n+1)}{2} \label{eqn:sum} \end{equation} 図も入れてみましょう.図\ref{figure:pic}を見て下さい.つまらない絵ですね. \begin{figure}[h] \begin{center} \scalebox{1}{\includegraphics{pic.eps}} \caption{つまらない絵} \label{figure:pic} \end{center} \end{figure} |
これをタイプセットする前に,プリアンブルに以下の記述を加えておいてくださ い.
\usepackage[dvips]{graphics} |
これにより図を表示させることが可能になります.また,図の挿入のところで \scalebox というコマンドを使用していま すが,これは図の大きさを実際のサイズの何倍に表示 させるかを決めるコマンドです.1は同じサイズとい う意味です.
TeXの授業の最後の項目は文献引用です.教科書などを見ると章末や巻末に文献 が引用されているのが分かるでしょう.それらを本文で参照する際にも文献番号 が利用されますが,それもTeXなら自動で参照してくれます.次の文章を先ほど のものに加えて試してみてください.
\section{文献引用} 巻末の文献を引用します.たとえば,この文章は文献\cite{total}を見ながら作 成しています.この本はかなり詳しく書いてあるので,\LaTeX の作業には欠かせ ません.3年生向けの教科書\cite{aplli}ではまだ不十分かもしれませんね. |
そして,最後の \end{document} の前に以下の記述を加えておきます.
\begin{thebibliography}{99} \bibitem{total} 伊藤和人,「\LaTeX トータルガイド」p.253,秀和システム,1991 \bibitem{aplli} 山本芳人,「最適環境実現のためのLinuxアプリケーションガイド」,工学図書, 2000 \end{thebibliography} |
長い名前ですが,\thebibliography 環境を利用しています.本文では \cite コマンドにより自分でつけたラベルで参照します.
上記の例文を自分でまず構成し,自分なりに項目を追加していくと良いでしょう.
授業の終りに宿題の説明をしますので、アナウンスに注意してください.