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はじめに
無線LANとは?
2.4GHz帯小電力データ通信システム
1999.9.17
「2.4GHz帯小電力データ通信システムの高度化に関する
規定の整備」の発表
1999.11.8
郵政省令76、77号の発令
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無線LANを理解する二つのポイント
・ 周波数
電波の特性
・ スペクトラム拡散方式
通信の特性
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電波について
電波とは?
通信に利用する電磁波であり、周波数が3kHzから
3THzまでのもの(電波法)
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移動体通信用の周波数
種々の制約がある移動体通信には以下の周波数が利用される
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無線LANの周波数 (2.4GHz)
直進性が良い
--> 目視できる場所しか通信できない
PHSの周波数1.9GHzとあまり変わらないが電話と違い
建物内での壁をまたがった利用は困難
--> 電波の出力が関与
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通信方式について
無線通信とは?
必要な信号を搬送波と呼ばれる電波に乗せて伝送すること
信号を搬送波に乗せることを変調、元に戻すことを復調という
振幅変調の例
周波数変調の例
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デジタル信号の変調方式
位相変調に相当するデジタル変調方式
Phase Shift Keying (PSK)
より高い伝送量を確保するために
Differentially encoded PSK (DPSK)
Quadrature PSK (QPSK)
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帯域幅
搬送波に対して余分な周波数の信号が重なるために、
「帯域幅」が存在する
通常の放送、通信は「狭帯域変調方式」が使用される
(もとの信号の周波数の数倍以内)
ラジオのダイヤルやテレビのチャンネルを合わせる
--> 搬送波の周波数を合わせる
帯域幅が重ならないように搬送波の周波数をずらして放送
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松江市域のラジオ電波周波数
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スペクトラム拡散方式
通信において重要な要素
移動体通信や室内無線LANなどでは避けられない障害
それに対する解答が 「スペクトラム拡散」
通常では考えられないくらい広い帯域を使用して通信を行う
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送受信のイメージ
通常の変調作業を行った後に拡散変調と呼ばれる広帯域化を行う。
PN(Pseudo random Noise) と呼ばれるランダムに見える信号を
かけあわせて、周波数を拡散
受信時には再びPN系列をかけあわせる
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簡単な信号理論
なぜ、ランダムな信号をかけあわせるか?
本来の信号(ベースバンド)を a(t) とし、PN系列を c(t) とする。送信される
信号 x(t) は
であり、伝送路での損失を無視すると受信時の入力も x(t) となる。受信時に
再びPN系列と積算するので、再生信号 y(t) は
となる。ここで、送受信時のPN系列が全く同一であれば
であるので、y(t) = a(t) が取り出せる。また、途中で干渉波が混入した場合に
は干渉波はPN系列によって拡散されるので電力密度が低下する。
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スペクトラム拡散のイメージ
先程の過程を図で示すと以下のようになる
PN系列が送受信の両側で全く同じでないといけない -> 本当にランダムな信号は利用できない
同時に利用している通信間で同じ系列が発生すると誤りになる
-> 相互相関性を0にすることはできないので、同時使用数に制限がかかる
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スペクトラム拡散の歴史
- レーダにおけるチャープ信号が最初
- 雑音を重畳させる方式は主に軍事目的で通信の秘匿性の向上に利用
- 音声信号を帯域分割、ランダムに組み替え、雑音重畳
- 信号のランダム系列はディスクに引っかき傷をつけて複製し送受信側で保有
- 測距用の通信衛星 Navstar で用いた方式 -> GPS
GPS
1.2GHzと1.5GHzの二波を利用
ランダム系列としてC/AコードとPコード(軍事用)を使用
軍事用から民生用への転換
IPと同じ
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ISMバンド
Industrial, Scientific, Medical の略
郵政省告示257号、無線設備規則第65条
2450MHz±50MHz
電界強度 規定無し
日本において周波数帯域が狭かった理由
スペクトラム拡散方式は電波のモニタが困難であり、電波監理局にとっ
て都合が悪いため
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利用周波数
チャンネル構成
14チャネルあっても実際に干渉なしで利用できるのはその中の4つまで
PN系列の分離特性から一つのチャネルを利用できる端末は最高で
20程度まで
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通信の秘匿性について
--> 最近は自動取得できるようになったため×
--> 特殊ツールにより解読可能?
有線に比べて秘匿性が劣る可能性あり
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運用事例
島根大学総合理工学部電子制御システム工学科の例
- 11階建ての3号館及び8階建ての1号館を利用して大学の周囲に向けてアンテナを設置
- 周辺の学生の自宅から学科LANへの接続を行い、授業や研究の支援を行う
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運用上の注意
- 通信速度
- 元々の上限
- 多数接続による帯域分割 (スイッチングハブとの違い)
- 多段接続による速度低下 (島嶼部、中山間地)
- 接続可能範囲
- 遠距離になると見通しが問題
- コンクリート、モルタルの壁越しは基本的に不可
- 鉄製扉でもガラス窓があれば可能
- ローパーティションや部分的な仕切については反射により接続可能な場合も多い
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商業的な運用事例
ワイヤレスインターネットサービス(株)の例 (11月サービス開始)
カバーするエリアは東京、名古屋、福岡
最大2Mbpsの接続(実効的に1Mbps程度と思われる)
他にも11月サービス開始に沖縄県北谷町の例もあり
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